自己愛性人格障害(188) 介護業界の構造的問題 その2
新たなスターの登場で閑話休題が入ったが、
再び話題を介護業界の構造的問題に触れたい。
日本は高齢化が進んでおり、
それは即ち介護事業の顧客対象が今後も増えるという事であり、
実際に、需要の増加に伴い税金で賄われる介護給付は増加の一途を辿っている。
これは一見、介護がバラ色の成長産業に思えるかもしれないが、
高齢者が増えるということは相対的に労働人口が減少することを意味する。
労働人口が減っているという状況がまずひとつ。
国から支払われる介護報酬は3年に一度、
そして介護保険法そのものも5年に一度改正されることになっている。
国が価格を統制しているため、
仕事内容や仕事量が同じでも事業収入が上下する。
上下するというより、
介護報酬改正のたびに一方的に下げられているのが現状である。
介護報酬が下げられていくのはある意味当然である。
財源が限られている中で需要が増えれば薄くなるのは仕方がない。
しかもその原資たる税収が労働人口の減少と共に減るのである。
需要が伸びるのに比例して供給が減っていく。
社会保障費の急激な増大に対する政治的対策は国家財政の急務である。
介護報酬を含む社会保障費の財政的な問題がひとつ。
話は逸れるが、本当に日本という国家の事を考えている政治家であれば、
社会保障費はがっつり削減、そして消費税その他は大幅増税、これをせねばならない。
もちろんこんな真実をアピールすると選挙で落選するかもしれないが、
社会保障を充実しつつ、かつ消費税アップには反対、
こんなことを言う政治家や政党は信用しない方がいい。
目先の得票に目がくらみ国家100年の大計を誤っている。
つまり高齢化社会というのは、
高齢人口が増えると同時に、それを支える労働人口が相対的に減少し、
つまりは税収も減るということなのである。
特に介護に関して言えば、完全に需給バランスが崩れている。
そのため、介護報酬改定や介護保険法改正においては、
介護給付を削減する方向で進んでいる。
そして介護報酬が削減されるということは、
当然、働いている人たちの給与にもそれが反映される。
実際に介護職の給与の低さについては数々の報道がなされているが、
介護報酬が抑制されている以上、
今後、下がることはあっても上がることはないだろう。
国家の制度的方針で薄給にせざるを得ない。
あと、これは反感をかうかもしれないが。。。
下の世話があり、仕事の内容を厳しく感じる人もいるかもしれない。
核家族で育ち自分たちの祖父母と暮らした事のない若い人たちには、
理想と現実との乖離に耐えられない場面もあるだろう。
ボクの友人のベテランヘルパーは慣れたもので、
「ウンコ触ってナンボ」と表現していた。
人によっては、あまり皆がやりたがらない仕事であること。
まとめると、
1)労働人口が減少傾向にあること。
2)財政的な問題から薄給であること。
3)下の世話など、あまりやりたがらない仕事だということ。
その他にもいろいろ理由はあるのだが、
介護の担い手が不足していることだけは確実で、
外国人の移民を登用してはどうかというくらい事態は深刻。
就職情報誌やハローワークなどでは常に求人が出ているような状況である。
介護現場は慢性的に人手不足なのである。
(続く)