自己愛性人格障害（153） 胸の傷 その1
少し、ボクの想い出を書きます。
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ボクの胸には大きな傷がある。
物の例えじゃなく、本当に傷があるのである。
右の乳首の下から背中にかけてガッと大きな手術痕が。
母が初めての出産の時、
バカでも何でもいいから、
とにかく五体満足健康な子供を、と願っていたという。
母の誕生日に合わせて頑張ったけれど、
ちょっと遅れてボクが産まれた。
で、やっと産まれてきた子供は、
右胸から脇にかけて大きく膨れていた。
小児癌かもしれないと言われたそうだ。
うぉ～びびる。
幸い、皮下に水がたまっていただけで、
特に問題のないものだったのは、
今現在、ボクが健康に生きていることで証明されている。
ただ、万一の事を考慮して、
調べるためにも、かなり派手に切ったらしい。
女の子だったら成長と共に膨らむ部分の肉がごっそりないから、
もしボクが女の子だったら、
こんなに大きく切らなかったかもしれない。
それにしても、傷を見るたびに思う。
下手くそな手術だなぁと（笑）
まるでマンガの手術痕みたいにペケペケが並んでいる。
手術をしたのはKという先生で、
10年くらい前、父が入院したので母と見舞いにいった際、
母が向こうを歩いている老医師を指差し、
「ほら、あれがお前を手術した先生だよ」と言う。
ほ～、あの方か～、と自然に会釈してしまった。
きっと痛かっただろう。
産まれてすぐでよかった。
今、こんな手術すると嫌だもの。
記憶のない時でよかった。
両親、親戚の人たちは、かなり心配したらしい。
今では成長とともに皮膚の色はまわりと溶け込んでしまったけれど、
術後はその部分だけはっきりと変色していて、
父が自分の皮膚の移植を申し出たらしい。
産後すぐということで、採血や麻酔は足の指の間から行ない、
ボクはその間ずっと、ギャーギャー泣き叫んでいたという。
そのボクの声を聞いて、母もずっと泣いていたという。
とにかく隠そうにも隠せない大きな傷である。
人によっては気にする人もいるだろう。
けれど、幸いかな、これはボクの性格だろう、
この大きくグロテスクな傷痕は、
ボクの人生において全く影響なかった。
不利にも有利にも。
もし事故にあっても、
この傷痕ですぐに身元確認できるだろうな、くらい（笑）
小さい頃から、海やプールで泳ぐときも、平気で服を脱いでいるし、
恥ずかしいことはまったくない。
傷跡を隠そうともしないボクの動作はあまりに自然で、
自分でも、そういえば手術跡があったっけ、というくらいである。
先日、健康診断に行き、
完全な健康体の結果を母に報告した。
聴診器当てる時、必ず医師はこの傷痕の理由を聞いてくる。
もちろん仕事だから仕方ないのだけれど、
そういう話をすると、母は済まないねとボクに謝った。
いやいや、ぜ～んぜん気にしてないから。
母に気遣って言ってるんじゃなくて、
本当に気にしてないもん。
いつでも誰にでも見せられる。
だいたい、ボクは医者にかかったことはほとんどない。
病気らしい病気はしたことがない。入院の経験もない。
むしろ、このような身体に産んでくれた両親に感謝している。